※本稿は手口解説ページの第⑦〜⑧段階と、 情報提供者・内部告発の内容を突き合わせたものです。特定個人・法人の犯罪を認定するものではありません。
前回までの流れ
第1回で入口と日課化、 第2回でチャット内ドラマとイベント発表までを追った。 ここまでが「信頼を作り、参加の意思を固める」フェーズだ。
第3回の舞台は、そのあと——お金が動いたあとに何が起きるか。 サクラ統括(小笠原元気)が担う「見せ場」から、 技術面が担う「締め」の工程へ視点が移る。
調査ノート⑦ — 孤立化
入金が確認されると「室長」から参加条件の説明を受けた。「失敗した時は何も保証しない」と繰り返し言われた。その後「情報漏洩防止」を理由に、元のオープンチャットから退室させられた。
なぜチャットから外されるのか
第2回まで、オープンチャットは「仲間がいる場所」だった。 しかし入金後、被害者は他の参加者と情報交換できない状態に置かれる。
- 「情報漏洩防止」という名目 — 正当な理由に見えるが、実態は他者との照合を防ぐため。
- 個別LINEへの移行 — 担当者1対1の環境になり、サクラの存在を疑いにくくなる。
- 「保証しない」の繰り返し — 事前に責任の放棄を口頭で固定し、のちの「入力ミス」主張への布石。
調査ノート⑧ — 「入力ミス」による責任転嫁
LINEで送られてくる数字をトレードアプリに入力していく。1〜2回目は順調に進んだが、3〜4回目で残高がマイナス表示になった。「あなたの入力ミスだ」と責められ、約480万円の損失責任を負わされた。
演出の手順
- 序盤は成功させる — 1〜2回目はわざと順調に進み、「ちゃんと稼げる」という確信を与える。
- 途中で残高をマイナスに — 3〜4回目で画面の数字が急変。被害者は自分の操作を疑う。
- 責任の一方的な転嫁 — 「あなたの入力ミスだ」と繰り返し言われ、精神的に追い詰められる。
- 追加入金の要求へ — 挽回のための追加資金(第⑨段階)へつなげる。
偽システムの仕組み——何が作られていたのか
被害者が操作していた「トレードアプリ」に必要だったのは、本物の取引機能ではない。 以下の演出機能だけで足りる。
入力画面
LINEで送られた数字を転記するだけのUI。見た目は本格的なトレードツールに似せる。
残高表示
運営側が任意にコントロールできる数値。マイナス表示も「演出」として切り替え可能。
進行シナリオ
「何回目で失敗させるか」を担当者が指示。被害者ごとにタイミングを変えられる設計。
第1回の「日課」——平日18・19・20時の決まった入力作業——は、 このアプリに慣れさせるトレーニング期間だったとも読める。 約1か月かけて「入力の仕事」に慣れた被害者は、本番の「入力ミス」演出に抵抗しにくくなる。
情報提供に基づく手がかり:笹田龍成・デイスマート株式会社
複数の情報提供者・内部告発の内容によれば、笹田龍成は システムエンジニアとして、今回の手口で使われた 取引システム(トレードアプリ等)を構築したと報告されている。 被害者に入力させる画面や残高表示など、技術面を担っていた可能性が示されている。
法人との接続
笹田龍成はデイスマート株式会社の代表取締役として登記情報等に記載されている(情報提供・公開情報に基づく)。 同社の公式サイトでは、ウェブサイト・システム開発を事業内容の一つとして掲げている。
- アプリのURL・ドメイン・ホスティング先に心当たりがある方
- 開発・保守の名目で笹田龍成またはデイスマートとやり取りした方
- 同様の画面・UIを別のオープンチャットでも見た方
- ソースコード・管理画面の存在を内部告発で聞いた方
※デイスマート株式会社が今回の手口に直接関与したと当サイトが認定したものではありません。 心当たりのある方は笹田龍成の情報提供ページからご連絡ください。
第3回時点で分かること
- 組織は「心理」と「技術」に分業している — サクラ(小笠原)とシステム(笹田)が別層として情報提供に現れる。
- 偽アプリは金を抜く核心 — 入金後の「損失」は画面の演出であり、被害者の操作ミスではない可能性が高い。
- 孤立化は意図的 — チャット退室で他者の証言・比較を封じる。
- 確認された取引所名が整理された — Cyber Exchange、FIGHT MARKET、GOLDEN CROSS など8件(取引所一覧)。
- 技術担当の実名・法人名が浮上 — 笹田龍成・デイスマート。全体統括の江尻晃(えじりこう)との関係は第5回で扱う予定。
まだ確認が必要なこと
- アプリの実際の開発者・ホスティング先の特定
- 複数被害者間で同じシステムが使い回されているか
- 借金・源泉徴収票・暗号資産入金の手順(→ 第4回)
次回予告 — 第4回:借金・改ざん・暗号資産——金を抜く仕組み
イベント参加の資金は、多くの場合最初から用意されていない。 消費者金融への借入、年収を水増しした偽の源泉徴収票、 そして暗号資産経由での入金——お金を「抜く」ための金銭フローが別途存在する。
第4回では手口第⑤〜⑥段階を軸に、 被害者を「偽造書類の使用者」に仕立て上げる手法と、追跡を困難にする送金ルートを追う。
同じトレードアプリ・入力ミスに心当たりがある方へ
アプリのURL、画面のスクリーンショット、担当者とのやり取りなど、手元の情報を共有してください(公開は不要です)。